努力する子の育て方

努力に勝る才能無し!努力の才能を育てる教育法、ボルダリングによる育児ハック実践、我が家の超個性的なギフテッド児の生態など

努力する子を育てるために自分の自己肯定感を高めていく・後編

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前編の記事では、自己肯定感が低い親が子供の自信を低下させてしまうメカニズムについて解説しました。後編の今回は、自己肯定感を高めていく方法、物の考え方について書いていきたいと思います。

自分に自信を持つための理由探しを止める

自己肯定感を高めていく上でまず必要なのは、「自己肯定感は根拠のない自信である」ということへの真の理解です。この「根拠がない」というのは、「根拠はなくても良い」という意味ではありません。自己肯定感にはむしろ、根拠があってはいけないのです。

自信には根拠があった方が良いのでは?と思うかもしれません。確かに、根拠があれば、自分に自信がない状態からでも、自信を持つことができます。しかし、根拠にもとづく自信というのは、一見強いように見えて脆弱なものです。なぜならば、その自信を支える根拠が弱くなったり無くなったりすれば、それと共に弱まったり無くなったりしてしまうからです。

前回触れましたが、自分への自信の中でも、成功体験などに裏打ちされた根拠のある自信は、自己効力感と呼ばれます。この自己効力感は根拠にもとづいているため、その根拠がなくなったり古くなったりすれば、なくなったり弱くなったりします。しかし、自己肯定感というものは、仮にこの自己効力感が全て潰えたとしても、それでも残る自分への自信なのです。この役割を果たす上でも、自己肯定感は根拠という脆弱性を抱えていては不都合なのです。

これも前編の記事で書きましたが、人間の存在価値というものに、根拠や意味というものは求められません。そこにどんなに理屈をつけようとしても、土台不可能なのです。無理に根拠を見出そうとしても、むしろ矛盾を抱えてしまったり、どうしても納得できない状態になってしまいます。

自己肯定感を高めていく上で、まず自分の存在価値についての理由を探すのはやめましょう。自己肯定感は、無根拠な自信です。その点をしっかり理解して、その根拠を探すことは止めましょう。「自己肯定感を持つ根拠が見つからない」ということで自己肯定感が下がるなんてことは、実にあってはならないことです。

していくべきは自己肯定感を下げないアプローチ

しかし、根拠もないのに自分に自信を持つことはできない、そんな風に感じる人も多いかもしれません。自分に自信がない人ほど、自分が自信を持つことに理由を探す傾向があります。「自分に自信をもっても良い」ということを自分を納得させるために理由が必要なのは、自己肯定感が低いからなのです。しかし上で書いた通り、いくら理由を探しても、自己肯定感は高くなりません。

ではどうすれば良いのか?「自己肯定感をつけたい」と考えている人は、戦略を180度変える必要があります。自己肯定感は、つけようとするのではなく、失わないようにしていくものなのです。

そもそも自己肯定感は、自分の存在価値というものへの無根拠な信頼であり、人間が生きていくために根本的に必要なものです。つまり、人間の基本的欲求と同じように、生まれた瞬間から誰にでも宿っている代物であり、必要な自己肯定感は本来誰しももっています。

しかし自己肯定感が低くなってしまう、それは結局、自己肯定感が元のレベルから下がってしまっているからです。自己肯定感は獲得していくものではなく、下げないようにしていくことで高められるのです。一度下がってしまった自己肯定感も、下げているプロセスを無くしていけば、次第に回復していきます。

 

 

自己肯定感を下げる原因「認知の歪み」を知る

では、なぜ自己肯定感は下がってしまうのでしょうか?人間には、自分についての認識を歪ませて、ネガティブな感情や自己認識を生み出してしまう、「認知の歪み」と呼ばれる非合理的な思考パターンの存在が知られています。この認知の歪みが、非合理的な自己認識作り出し、自己肯定感を下げる大きな原因として働きます。

例えば、何かを失敗した時に「自分は何をやってもダメな奴だ」と考えてしまう。9割方上手くいった計画の、未達成の1割を見て「この計画は上手くいかなかった」と感じてしまう。他人の態度に違和感を感じて「何か悪いことをしたかな」「嫌われちゃったかな」と思いこんでしまう。上手くいったら「運が良かった」、失敗したら「自分が悪かった」と単純に考えてしまう。こうした誰にでもありがちな思考パターンが、認知の歪みです。

上の例でいえば、何かを失敗した時に「自分は全くダメな奴だ」と考える、この「全くダメな奴」の部分が論理的に飛躍している部分です。失敗は事実であっても、「全くダメだ」という結論は、具体的な根拠を欠く過度な一般化の結果です。「自分は○○で失敗してダメだった」これならば事実の認識、自己受容です。しかし、十分な根拠もなく「自分は全くダメな奴だ」という認識を持ってしまう、それが認知の歪みです。

認知の歪みには他にもいろいろなパターン(認知の歪み - Wikipedia)がありますが、どれも非合理的な、間違う可能性の極めて高い推定プロセスであるという特徴があります。つまり、事実とは異なる誤った自己像、自己認識を作り出してしまう思考パターンです。さらに、認知の歪みは一般的により悪い自己認識、つまり自分の価値というものを下げる方向に論理を飛躍させます。

つまり認知の歪みには、実態とは関係なく、必要以上に自己肯定感を下げる働きがあります。そして、認知の歪みが自己肯定感を下げれば、ネガティブな思考である認知の歪みはさらに増強されていきます。なにか小さな失敗をするために「自分は全くダメな奴だ」と考えていれば、それがいつしか事実のように認識されてしまいます。

論理の力で認知の歪みを克服する

全知全能の人間というものが存在しない以上、人間は自己認識を誤るものであり、認知の歪みを全く持たない人は存在しないと言えます。それでは、自己肯定感を下げないようにするには、どうすれば良いのでしょうか?

認知の歪みは、非合理的な思考パターンです。つまり、認知の歪みの持つ非合理的な部分を検証し、修正していくことで、認知の歪みの影響を小さく抑えることが可能になります。自己肯定感を下げる「根拠」について論理的に考えるのです。実は、自己肯定感には本来根拠がありませんが、自己肯定感を下げる時には常に根拠が存在しています。つまり、自信を持つ根拠について考えるのではなく、自信を失う根拠の妥当性を考えていくのが、自己肯定感を上げる正しいアプローチです。

まずは、自分の持つ認知の歪みの存在を認識することが大切です。認知の歪みのリストに目を通して、そういった思考パターンに心当たりがないか考えてみましょう。また一度、自分が自分の短所や弱みだと感じている部分について、そう考える根拠を問い直してみましょう。大抵の場合、そこには大なり小なりの論理的な飛躍や推定の誤りが存在しています。つまり、そんなにネガティブになるほど十分な根拠は簡単には見つかりません。その飛躍の部分、根拠が足りない部分が、認知の歪みです。

このように、論理的な思考・検証によって認知の歪みを克服していく方法は、実は「認知行動療法」として定式化され、実際にうつやパニック障害などの精神疾患治療に効果が認められています。

認知行動療法のゴールは、その人の認知の歪みが修正され、気持ちが上向くこと。そして、本人が自分で自分に認知行動療法を行えるようになる、つまり、自らの認知の歪みを的確に捉え、その非合理的な部分に自分で論理的修正を加える思考パターンを身につけることです。

認知行動療法が発展してきた歴史の中で、「論理療法」という呼び名が使われていたこともあったほど、合理的なものの考え方の獲得は認知行動療法の中核です。「理屈っぽい」と聞くとあまり良いイメージはしないかもしれませんが、正しい理屈の力、論理の力は、人の心を守るのです。自己肯定感を下げないためにも、合理的な自己認識、論理的な思考パターンの習得が、非常に大切です。

認知行動療法には、自分で取り組むための解説書がたくさん出ていますので、興味のある方は読みながらトライしてみることをお勧めします。↓のものは定番の解説書です。

あなたが自己肯定感を高めることは結局世のため人のため

自己肯定感は根拠のない自信で、誰でも元来持つものです。誰かが自己肯定感を高めるということは、それ自体他の人を巻き込む行為ではありません。基本的にはその人一人の中で閉じているプロセスです。

しかし、前編の記事で解説したように、自己肯定感が低いことは、他の誰かの自己肯定感を下げてしまう可能性を高めます。つまり、自己肯定感を高めることでは他人に影響はありませんが、自己肯定感が低いことでは他の誰かに悪影響を与え得ます。

すなわち、あなたが自己肯定感を高めることが、ひいては自己肯定感の高い子供を育て、この世の中に良い循環を生んでいく、そう考えても、決して大げさなことではありません。あなたの自己肯定感は、あなたにとっても、子供にとっても、社会にとっても大切なのです。

最初に書いた通り、自己肯定感に根拠なんていらない、無い方が良い、というのは間違いありません。でも、もし自己肯定感を高めていくためにどうしても理由が必要な人がいたならば、そんな風に考えてみて欲しいと思います。合理的なものの考え方を身に着けて、自己肯定感を高め、みんなで良い社会を作っていきましょう。