努力の才能を育てるためには、まずその正体を理解することが必要不可欠。そこでまず、努力の才能とはなんなのかを詳しく見ていきましょう。
努力の才能とは
ずばり言ってしまえば、努力の才能とは「自らの成長につながる行動を自発的に生み出し維持できるものの考え方の傾向(性格)」です。
人には皆、生まれ持った性格の違いがあります。しかし同時に、人の性格やものの考え方は、人生の中で変化していくものです。
従って、生まれつき努力できる性格の人もいますが、そうでなくとも努力できる性格を身につけていくことは間違いなく可能です。
そして逆に、たとえ生まれつき努力の才能を備えていたとしても、人生の過程でそれが失われてしまうということも十分に起こり得ます。
性格は様々な特性の集合体
人の性格というものを詳しく見ると、「おおざっぱ」「ポジティブ」のように一言で表せるような、単純なものではないということがわかります。実際のところ人の性格は、様々な「性格特性」という要素が組み合わさってできていると考えられます。
では、どんな性格特性が自発的な成長努力を生み出し維持するために重要なのでしょうか?大切なことは、努力の才能に関わる性格特性もまた一つではないということです。
例えば、自ら行動を起こしていく上では「自発性」「好奇心」といった性質が重要になります。また、行動を継続していくために「自制心」「忍耐力」といった性質が重要なのは間違いありません。他に「自信」や「こだわり」といった性質も、自分で行動の内容を決めて進んでいく上では重要な役割を果たします。
努力の才能に必要なのは性格特性の絶妙なバランス
そしてもう一つ重要なことは、こうした性格特性の各要素は「あればあるほどよい」という単純なものでなく、あくまでそのバランスが大切ということです。
例えば「自信」がなければ自らの成長を信じられず、努力していくことができません。しかし、あり過ぎると逆に「自分はできるから努力の必要はない」という過信として、努力の妨げになってしまいます。
また「こだわり」は高い目標を追及していく上では欠かせない特性ですが、強すぎると「完璧主義」に陥るなどして、行動の妨げになってしまいます。
「好奇心」についても、「自制心」や「こだわり」とのバランスがとれないと、注意の拡散をまねき、成長のために一貫した行動をとっていくことが難しくなってしまいます。
努力の才能の育成が難しい理由
努力の才能を伸ばすのが難しい最大の理由は、性格特性やものの考え方が、数値化しづらいという点にあります。
学力やIQ、運動能力であれば、テストによって数値化し、客観視できます。数値化できれば教育効果の測定も簡単であり、訓練法の評価も簡単です。
様々な項目をバランスよく伸ばしたければ、各テストの数値をチャート化してから、トレーニングの方法や量を調整していくことができます。
しかし、数値化できない性格特性では、そうはいきません。努力の才能の育成を念頭に性格特性の状況を把握するためには、様々な状況での言動を注意深く観察し、「努力を生み出し維持するためのものの考え方をできているか」を評価・分析し、対応を考えていくという時間も根気もいるプロセスが必要になります。
努力の才能の育成の鍵は親にある
性格特性の把握には、継続的に時間をかけての熱心な観察が必要です。そして、生まれつき違う各個人の個性を踏まえてものの考え方や性格特性に働きかけていくためには、非常に密接で繊細な指導が必要になってきます。
時間の面でも、熱意の面でも、個人に向けてそんな関わり合い方ができるのは、親くらいのものではないでしょうか。逆に言えば、親は子供の努力の才能を伸ばす上で、最も有利な存在です。
それでは、子供の努力の才能を伸ばすために、親は実際どんな風に子供に関わっていけばよいのでしょうか?それをこれから少しずつ、書いていきたいと思います。