努力する子の育て方

努力に勝る才能無し!努力の才能を育てる教育法、ボルダリングによる育児ハック実践、我が家の超個性的なギフテッド児の生態など

親子の信頼関係無しに努力する子は育たない

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努力する子を育てるために不可欠な土台、それが親子の信頼関係です。これはあらゆる教育の場面で言えることですが、同じことをやっていても、相手との信頼関係の有無でその効果は全く変わってしまいます。そこで今日は、親子の信頼関係の重要性や、子供との信頼関係を作っていくための関わりかたについて、書いていきたいと思います。

 

 

信頼関係は効果的な教育の基礎である

信頼関係は、親子にとどまらず、教師と生徒、上司と部下など、あらゆる教育の局面で重要な基盤です。例え自分にとって厳しい言葉でも、信頼している相手から言われれば「自分のことを思っての言葉である」として素直に応じられるのに、信頼していない相手からの言葉は、仮に全くの正論で自分のためになる助言であっても、感情的に受け入れられないといった問題は誰しも大なり小なり持っているものです。同じ内容の指導でも、信頼関係の有無でその受け入れられ方、効果は大きく違ってきます。

もう何度か書いている通り、努力の才能を伸ばす上でカギとなるのは親です。もし親の言葉に子供が強く反発するようになったり、親子のコミュニケーションを子供が避けるような事態になってしまえば、親の働きかけによる努力の才能育成は、立ち行かなくなってしまいます。つまり、親子の信頼関係は、親が子にどのように関わるか以前に、親から子供への働きかけを成立させるための大切な前提条件であると言えます。

親子の信頼関係は子供の情動発達の大切な基礎でもある

もう一つ、親子の信頼関係には、子供の情動発達の基礎としての極めて重要な役割があります。子供は、生まれた瞬間から親に無条件の信頼を寄せています。泣けば親が助けにきてくれる、困ったらとにかく親の所へ向かう、「親である」ということ以外そこには何も根拠はないにも関わらず、子供は親を信頼し、助けを求めます。この子から親への生まれつきの信頼に応え、親が世話をしたり子供に寄り添ったりする、この過程で子供から親への信頼感はより強固になり、親への基本的な信頼感、「愛着」が形成されます。

そして子供の自己肯定感や自信、ストレス耐性、社会性などの性格特性は、この愛着を基礎として発達していきます。その証拠に、育児放棄などの虐待を受け、親への愛着形成が上手くいかなかった子供では、低い自己肯定感や自信、そして対人コミュニケーションの問題など、社会情緒的な不安定さの問題を多分に抱えるようになってしまいます。

以前の記事で書いた通り、努力の才能の実体は「性格」、つまり物の考え方や情動的反応の傾向です。そして、自己肯定感や自信は努力を生み出していく上でも重要な性格特性です。従って、もしも愛着形成の問題で情緒的な発達が上手くいかない場合、それは努力できる子を育てる上での致命的な問題になってきます。

まとめると、親子の信頼関係は、親から子供への効果的な教育を支える基礎として、そして子供の情動的発達の基盤として、努力する子の育成に、2重に重要な土台であると言えます。

 

 

 

子供から信頼される親であり続けるための関わり方

愛着形成は3歳ごろまでに起こると言われています。しかし、親子の信頼関係は、幼少期の愛着が十分であれば後は大丈夫というものではありません。幼少期には絶対的であった子から親への信頼も、子供が成長し、親以外の人間や家の外の世界を知るようになれば絶対的なものではなくなります。親の関わり方次第では、子の成長に伴って親子の信頼関係が失われていく可能性も十分にあります。では、子供との信頼関係を良好に保ち続けるために、親はどのように子供に接すると良いのでしょうか?

子供にはいつも「無条件の愛」を

幼少期の愛着形成の過程では、親は子供に「無条件の愛」を与えています。子供から何も見返りはなくとも、子供を世話する、何の条件も子供に求めない、「無条件の愛」です。では、子供が大きくなってから、この無条件の愛の供給を止めるとどうなるか?それは、幼少期の虐待と同様に、子供の情緒面に重大な問題を招きます。

「条件付きの愛」とは、条件に応じて子供に愛情を示す行為です。例えば習い事やテストの結果が良ければ褒め、悪ければ無視したり叱ったりする、言いつけを守れれば褒め、守れなければ叱責する、といった具合の対応です。この条件付きの愛を示し続けると、親が愛しているのは子供そのものではなく、子供の出す「良い結果」であるという事実に子供自身が気づき、やはり愛着の問題を生じ始めます。

子供は常に「無条件の愛」を親に求めています。子供のしつけや教育を考える時でも、「条件付きの愛」を示すことになっていないかどうか、よく考えてみることが大事です。以前の「良い褒め方」の話で「結果を気にしない方がいい」と書きましたが、やはり結果を気にして子供と接すると、上で示したような「条件付きの愛」の提示になってしまいがちです。結果に関わらず、ありのままの子供へ愛情を示していくことが大切だと思います。

上手に褒めて子供のより強い信頼を勝ち取る

以前「褒めることで行動を強化し努力の才能を伸ばす」という基本方針について説明しました。 www.giftedpower.net 
この「褒める」という行為は、子供との信頼関係強化の点でも有効です。子供の行動を褒めたり、成長を認めるという行為は、子供の行動によく注意を払い、よく観察していなければできません。つまり、褒めることを通じて、子供に「親はいつも自分をよく見ていて、認めてくれている」という安心感を与え、より強い信頼を得ていくことができます。

褒めることで子供の信頼を得るには、的を射た褒め方をすることが必要です。褒められた側がピンとこない、心当たりのない褒め方をすると、「見ていないで適当に言っている」という印象を与えることになってしまいます。「なんでもいいから褒める」は逆効果です。「なぜ褒めたか」を聞かれた時にきちんと説明できるよう、準備をした上で褒めていきましょう。

子供扱いせず一人の人間としてリスペクトする

子供の信頼を損ないやすい関わり方は、大体において「子供を子供扱いする行為」です。人間関係において、信頼関係の基礎というのはいつでもリスペクトです。子供であっても独立した人間として、きちんとリスペクトを持って接しましょう。

「子供だから」という理由で意見をあしらったり、「親だから」という理由で自分の意見を通そうとするのは厳禁です。社会人として普通信頼を損なうというような言動は慎みましょう。例えば嘘をついたり、自分の機嫌で子供への対応が大きく変わったり、意見がコロコロと変わったりといった行為は一貫性や論理性を欠き、相手が誰であろうが信頼を損ねますし、いわゆる毒親行為です。人間だれしも間違いはあります。もし間違って信頼を損ねる行為をしてしまったら、相手が自分の子供であってもきちんと謝罪しましょう。

子供が小さい時には、とにかく子供の世話を一生懸命していれば信頼関係は形成されていきます。しかし、子供が大きくなってくると、よく考えた関わり方をしないと子供の信頼を損ね、相手にされなくなる可能性があります。一貫性と論理性を保って子供と関わっていくためには、親が子育てに対する自分の自立した考えと価値観(育児哲学)をしっかりと持っていることが必要になります。子供が親に全幅の信頼を寄せている時期から、子供をどう育てるか、そのためにどう接していくか、よく考えていくことが必要です。