努力する子の育て方

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アスペっぽくないうちの子がアスペの診断をうけた理由

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前回の記事では、うちの長男ケイ(ADHD+アスペルガー症候群診断済み)が、あんまりアスペルガーらしくない、という話を書きました。

しかし、それならなんでケイは専門医にアスペルガーと診断されているのか?これには結構、心当たりがあります。

うちの子がアスペルガーと診断された理由

初めに断っておくと、「うちの子誤診された!」なんて不満や怒りをぶちまけるつもりは一切ありません。ケイがアスペルガーの診断をうけた原因、それは親の私達の側に大いにあったと感じています。

親の確証性バイアス

何が問題だったのか?非常に大きく診断に影響したと考えられるのは、親の私達の側にあった、確証性バイアスです。

人間は先入観や願望などといった様々な要因の影響をうけて、しばしば不正確な判断をしたり、非合理的な決断を下したりします。こうした人間の合理的思考を歪ませる思考パターンを、心理学用語で認知バイアスと呼びます。

確証性バイアスはこの認知バイアスの一種で、先入観をもって他者を見ていると、自分の先入観を補強するような情報ばかりに注目し選択的に集めてしまう、というものです。

以前から書いていますが、ケイは小さな頃から色々と変わった所があり「普通じゃないかもしれない」という懸念を、私達は昔からもっていました。そして、この心配は幼稚園での加害トラブルを何度か経験する中で、一層強くなっていきました。

発達障害に関する知識をある程度持った状態で、「普通と違うかもしれない」と心配しながら子供のことを見ている時点で、既に確証性バイアスを引きおこす強い先入観は生まれています。

子供が何かしでかせば、その子供の行動の解釈は、どうしたって頭の中にある「アスペルガー症候群の子の特徴」や「ADHD児の特徴」と照らし合わせる形で行われます。そして確証性バイアスによって、その特徴にある程度当てはまると感じられる行動ばかりが強く記憶に残ってしまうのです。

つまり、「普通と違う」「アスペルガーかもしれない」と考えながらケイを見ている私達は、ケイの見せるアスペルガーと関係がありそうな行動や特性ばかり抽出し、アスペルガーの特徴と関連付けて記憶してしまっていました。例えば、過集中であらゆる物音に反応しないケイを見て、私達はアスペルガーの特徴に引っ張られ「自分の名前を呼ばれても返事をしない」特性も持っていると誤解していました。

加えて、以前書いた通りケイの発達外来受診のきっかけには、ケイが小学校でも他害トラブルを起こしているという事実誤認がありました。 

この事実誤認に関しても、幼稚園時代の経験からくる、私達のケイへの先入観が間違いなく影響しています。

結果的に、こうした私達の確証性バイアスが、専門医の診断をミスリードした部分はかなり大きかったと感じます。プロの児童精神科医が、そんなことで間違わないと思うかもしれませんが・・・こと子供の発達障害の診断においては、親の先入観や誤解が医者の判断に影響を与える余地は、非常に大きいと考えられます。

親が子供の発達障害診断に及ぼす影響の大きさ

他人の子供の生活や行動を自分の目で見て、十分な情報を集めた上で診断を下す余裕を与えられた児童精神科医は、世界のどこにもいません。診察時に子供の様子を見たとしても、それは診察室で見せる子供の言動に限られてしまいます。そして、その観察にかけられる時間は、ごくごく短い時間だけです。子供が家や学校でとる言動を十分に観察することは、まず間違いなくかないません。

そこで、児童精神科医は圧倒的に不足する情報を、生まれた瞬間からその子を見てきた親への問診で補います。特に発達障害の診断には、生育歴の聞き取りは非常に重視されます。そして、生育歴に関する情報は、ほぼ全て親からの聞き取りで賄われます。従って、もし親が子供の性質を誤解・曲解していれば、それが診断に反映される可能性は、極めて高くなってしまうのです。

特に日本の発達外来では、短時間の診察で診断を出すことが求められています。ケイの診察も概ね1時間ほどで、お医者さんがケイに問診していた時間は30分もありませんでした。いかにその道のプロであっても、その短い時間の中で、しかも診察室内という特殊環境下で、ケイの特性を十分に観察して理解することは不可能であると考えられ、私達の確証性バイアスで歪んだ説明が診断に影響したであろうことは、容易に想像できます。

 

 

現在の発達障害診断の限界

子供の発達障害の診断を、発達障害の知識が十分でない親という素人の意見に依存しながら行う必要がある専門医。この構図がある限り、親の認知バイアスや子供の特性への理解の誤りが、医者の診断に影響を及ぼしてしまうという問題は、解決できないと考えられます。つまり、アスペっぽくないケイにアスペの診断がついてしまったことは、今の発達障害の診断過程に存在する限界を反映しているのかもしれません。

そもそも発達障害は研究途上の概念で、その原因はおろか、分類や診断基準すら未だ明確ではない代物です。アスペルガー症候群という診断名も、アメリカで策定された最新の診断基準DSM-Vでは削除されており、発達障害の診断基準や分類は、めまぐるしく変化しています。

それほど不明確な概念について、その素人である親の、時に先入観に彩られた意見を参考に、限られた時間の中で診断していかなければならないというのは、児童精神科医は中々に無理ゲーだなあと、正直気の毒になります。でも、親の方に専門知識がないのは当然なわけで・・・これはやはり、発達障害に確定診断法が存在しない現状の限界と言っていいのかもしれません。

特に後悔はしていないということ

以上のように、ケイにアスペルガーの診断がついた理由は、私達親の認知バイアス、先入観のせいであった可能性が高いと考えます。しかし、別にそれを後悔したりということは、特にありません。だって、ケイは定型発達か否かの2択で言えば、絶対に定型ではないのです。普通ではないケイについて、深い知識が無かった私達が偏った先入観を持ってしまうのは仕方なかったと、今振り返っても思います。

しかし、私達がこの点について特に後悔せずに済んでいるのは、その診断がケイの生活に何も変化を生まなかったからだと思います。もしこれで、アスペの診断にもとづく投薬を始めていたり、所属学級の変更をしていたりといったことがあれば、診断名の違和の話はもっと大きな問題になって、私達も自分たちの先入観について、色々後悔していたかもしれません。

アスペルガーの診断が出て、結果的に良かったなと感じていることもあります。それは、診断名に囚われない大切さを知ったことです。似たような行動、似たようなトラブルでも、その原因やメカニズムにはケイ特有のものがあり得るということを、アスペルガーという診断の違和感は、私達に教えてくれました。

先入観に囚われず、ありのままのケイを見て、考え理解することが大事。それが、ケイにアスペルガーの診断がついたことから、私達が学んだ一番大切なことだと感じています。