努力する子の育て方

努力に勝る才能無し!努力の才能を育てる教育法、ボルダリングによる育児ハック実践、我が家の超個性的なギフテッド児の生態など

小1息子のいじめに親が出ていった話

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いじめ問題に学校がまともな対処をせず、悲劇的な結果を招いた。最近もそんなニュースを耳にして、大変暗い気持ちになりました。そして同時に、強い危機感と恐怖心が湧き上がってきます。いじめの被害にあって、理不尽に家族の人生が狂わされるというのは、やはり決して対岸の火事ではない、すぐそこにある危機だと。

私がそんな危機感を覚えるのは、うちの長男ケイが、小学一年生にしていじめの被害を受けたという体験が大きく影響しています。入学してまだ半年も経たないうちに起きた出来事。低学年ではいじめはそれほど心配ない、と勝手に考えていた私にとって、その日目の前で繰り広げられたのは、自分の考えの甘さを思い知らされる、残酷で、衝撃的な光景でした。

最初はうちの子が悪いと思っていた下校トラブル

この話はケイを発達専門外来に連れていった経緯でも少し触れましたが・・・ことの起こりは、ケイが下校中に下校班のメンバーに暴力を振るっているという話が、私達の耳に入ったことでした。一年生の一学期も終わりにさしかかる頃のことです。

一緒に下校しているメンバーの何人かを蹴ったり押したりしていて、ケンカに発展してしまっているという内容に、当然私達は衝撃をうけました。幼稚園のころ、ケイには他害トラブルが何度かあったのです。年長の後半にはまったく治まったと思っていたのに、小学校でまた再発かと、めまいを覚えるような感覚でした。

急いでケイに確認すると、「蹴ったりしちゃった・・・」と落ち込んだ様子で認めます。報告とケイの発言が一致したので、報告は事実なのだと考え、夏休みにケイを発達外来へと連れていくことを決心しました。

「下校が嫌だ」と言いだしたケイ

そうして夏休みが終わり、2学期の開始直後。夕食時に学校で何があったか聞いてみると、ケイがぽつりとつぶやきました。

「学校は勉強も遊びも楽しいよ。でも、下校が嫌だ」

ケイは、とても楽天的で積極的な性格です。これまで何かを嫌がったり、やりたくないと言ったことも、ほとんどありません。ケイが「嫌だ」と言いだすのは、本当に珍しいことなのです。「下校が嫌だとは、どういうこと??」慌てて真意を尋ねると、ケイはハッキリとした口調で言いました。

「下校の時、何もしていないのに蹴ったり殴ったりされるから、もう嫌だ」

何かがおかしい。これまでの話との齟齬を感じます。「それはいつからされてるの?」と聞くと「もうずっと前から」と答えるではありませんか。「ずっと前って、1学期?」「うん、そう」・・・やはり、何かがおかしい。

ケイに詳しい状況を重ねて聞きだすと、やはり一学期の頃から、何もしていないのに暴力を受けていると言います。暴力を振るう相手の名前も、はっきりと口にしました。そして本当に申し訳なさそうにしながら、最後にケイは付け加えました。

「だから、僕もどうしても我慢できなくて、やり返しちゃうんだ・・・」

何度も聞き返しながら重要な点を整理すると、ケイから手を出すことはなく、蹴ったり殴ったり意地悪をされて頭にきて、つい反撃に手がでてしまう。そんなことが1学期からずっと続いている。これが、ケイの言いぶんでした。

これは・・・何が事実?それまで理解していた状況と大きく食い違うケイの言いぶんに、混乱する私達。しかし、下校が嫌だとケイが言い出したのは、ケイの性格からして余程の事態と考えられます。子供が悩みを親に伝えて来た時に親が何もしなければ、子供は二度と親を頼らなくなってしまうかもしれない。しかし、状況が本当によくわかりません。先に手を出しているのは、ケイだったのでは?

とにかくこのままではらちが開かない。私達がとった行動は、論より証拠、下校時に何が起こっているのか、自分達の目で確かめるということでした。

 

 

お忍びで下校班を尾行観察

早速下校の経路を確認し、どこで待ち伏せて尾行を開始すればバレずに済むか、計画を練ります。同級生に面が割れている確率が高い母親ではなく、父親の私が尾行を担当することになりました。すぐに仕事を一時的に抜ける手配をし、幸いにもすぐに下校時間に一時的に仕事を抜ける算段がつきました。

そして次の日、ケイにも何にも伝えていない、お忍びの尾行調査です。予めイメージしていた尾行開始ポイントに陣取ると、しばらくして、ケイたちの下校班が校門をくぐって歩いてくるのが見えました。朝の服装を思いだし、ケイの姿を探そうとすると・・・なんだか一人、代わる代わるちょっかいを出されている子がいる??・・・それがケイでした。

思い出すと今でも嫌な気分になりますが、下校班のメンバーが寄ってたかってケイを蹴ったり小突いたり押したりしていました。他にも、後ろからランドセルを勝手に開けようとしたり、ドングリや草を投げつけ、石で顔を狙うふりをしたりと、ケイは実に様々な嫌がらせを下校中ずっと受けていました。

下校班メンバーはケイを置いてけぼりにして作戦会議のように集まり、そこから数名ケイに近づいては嫌がらせをして、ケイが嫌がったり振り払ったりするのを見てみんなで笑う、という行為を繰り返していました。ケイは毎回きちんと声をあげ、そして時には蹴り返したりもしていました。しかし、多勢に無勢で、下校班メンバーの嫌がらせは止まりません。

自分の子供が寄ってたかっていじめられているのを見て、流石に心中穏やかではいられません。それでも、ハッキリしたことがあります。これは間違いなく、集団による一方的ないじめである。それならば、今出ていって叱りつけるよりも、もっと効果的な方法で君たちに事の重大さを教えてあげよう。君たちが二度とそんなバカなことを考えないように、全部巻き込んで、徹底的に。そんなふつふつ湧き上がる怒りを胸に、ケイの受けている被害を記憶に刻み込みながら、じっと尾行を続けていきました。

そしてようやく、ケイが下校班と別れるポイントへとたどり着くと、寂しそうに歩いているケイの前に姿を現し、今日さっきまでされていたこと、加害生徒の名前、そして学年を確認しました。そして、辛い目にあっていることをしっかり親に伝えてくれたことに感謝し、この問題は親が解決すると伝えました。

帰宅して一息ついたケイから、もう少し細かい情報を聞きだします。やはり、1学期に私達の耳に入ったトラブルも、実態はこの日と同じで、ケイが複数人に一方的にやられる構図だったこと。ケンカの仲裁に入った大人が事情を聞いた時、ケイは「暴力を振るわない」という幼稚園時代にした私達との約束を破ってしまったことに囚われて、自分が反撃した理由をきちんと説明しなかったこと。加害者側はケイに責任をかぶせようと嘘をついたこと。

今後のことを考えると、ケイが事の経緯をきちんと説明できなかったのはとても心配だったので、ケイには起こったことを最初から順を追って説明する大切さを確認しておきました。それにしても、集団でのいじめ、そしてそれを嘘で隠そうとするような悪意が、低学年(加害生徒は1,2年生でした)にも存在しているという事実がショックでした。

学校も親も巻き込んで大事にする

ケイをいじめている生徒たちは、誰も私の尾行に気づいていません。であれば、今日目にした証拠を基に、学校を巻き込んで一気に問題にしてしまえば、加害者が嘘をつく暇もなく、カタにはめることができる。そう考えて、その夜すぐに学校宛の手紙を書きました。

学校側にこれをいじめ事案と認めてもらうこと、そして、きちんとした対応をとってもらうことがカギになります。そこで、まずは自治体と学校がリリースしている、「いじめ防止のための基本方針」に目を通し、今回のことが、間違いなくいじめ事案として処理されるべき内容であることを確認しました。

そして、自分で目にした内容を、加害者側が言い訳できないよう、いじめと認定されるポイントを押さえて説明していきます。加害児童の一部は、一度嘘をついていじめをごまかした前科があります。今日目にした出来事は、悪ふざけが高じたものでも、お互いにやりあっているケンカでもなく、嫌がっている一人に対して多人数で一方的に行っているいじめ行為である。加害児童に嘘をつくスキを与えぬよう、学校側がいじめ認定しなければ別の窓口で問題化できるよう、感情を抑えて事実のみを、決して盛ったりしないように注意しながら書いていきました。

そして、ケイが安心して学校生活を送れるようにしたいこと、ただ子供同士で仲直りして済む問題とは考えられず、根本的な解決のためにいじめ事案として認定し、再発防止に向けた加害生徒への指導が必要であるとを「被害生徒の親の考え」として訴え、学校側に積極的な対応を「お願い」する体裁の文章にしました。

素晴らしかった学校側の対応

翌日の朝ケイに「大事な手紙」を持たせると、その日の夕方には担任の先生から連絡がありました。学校でいじめ事案として認定し、対策委員会を設置したこと。当面の再発防止へすでに実施した取り組み内容と、今後行っていく取り組み案の報告。事件の全容解明に向けて聞き取り調査をするということ。そして、下校中のいじめを防げなかったことへのお詫び。

その日の朝から夕方までの短い時間で、これだけ迅速な対応ができるというのは、いじめの懸念が持ちあがった際の判断・意思決定の流れがきちんと準備され、それに沿って迅速に対応をとっているということです。なんの言い訳もせず、問題解決に向けて責任をもって取り組むという姿勢を、具体的な報告として伝えてきた先生と学校の対応には、こちらの抱いていた漠然とした学校への不信感を、拭い去るのに十分な説得力と、誠意がありました。

その日から数日間、毎日聞き取り調査の進捗状況と、判明したことのサマリーが電話連絡されてきました。私が尾行した日以外に起きたケイの被害や、この目で確認した以外の加害生徒の存在も、学校側は調査で明らかにしてくれました。保護者の顔色ではなく、きちんと問題そのものと向き合っている様子が、はっきりと見て取れました。

加害生徒の親

調査の過程で一点こちらから学校側へ出した要求は、子供がいじめの加害者になった事実を加害生徒の親にも周知し、家庭での指導を要請することでした。学校で起きたことであっても、一番子供の行動に影響を与えられるのは、やはり親であるとの考えからです。加害生徒の親は、みな一様に驚いて、そして子供がもういじめを繰り返さないように家庭でも教育に取り組む約束をした旨、学校を通じて報告がありました。

さらに、ほとんどの親が直接謝罪したい旨を学校を通じて申し出てきましたが、全てお断りしました。怒り心頭で許せない、顔も見たくない心境だったわけではありません。謝罪によって少しでも、気持ちが軽くなられては困るからです。いじめの問題は、この時ただ明るみに出ただけで、まだ解決したとは言えないのです。謝罪の必要はないので、もう二度と問題が起こらないように、気を引き締めてご指導をお願いします。学校には、そのように伝えて頂くようにお願いしました。

いじめの発生原因

ケイへのいじめが始まった原因は結局なんだったのか、ずっと不思議でしたが・・・学校側が調査の結果として教えてくれたのは「なんとなく面白かったから」以外の理由は出てこなかったという報告でした。

ケイは変わった子です。なので、ケイに何かいじめを誘発する原因が少しでもあったのか、先生方には気にして調べて頂くようにお願いしていました。しかし、調査の結果は「何もなし」。つまり、今回のいじめでケイが被害者であったことには全く理由がなく、いじめの発生をケイが防げたであろう方法もなく、そしてこのいじめからケイが学ばなければならないことも、何もないということでした。

解決できたのは、たぶん、ただラッキーだっただけ

その後数か月様子を見ていますが、ケイに対する集団いじめは、あの日を境にピタッと無くなりました。今ではいじめの加害生徒とも和解し、問題なく過ごしているようです。1年生で起こったケイの集団いじめ事案は、スピード解決で幕を閉じたと言って良いと思います。

振り返って、躊躇せずに親が出ていき、結果としていじめの証拠を押さえられたことは、事態を動かすのにとても効果的に働いたと思います。何より、自分の目でいじめを目撃したことで、100%自信をもって学校に要求を出せたことで、物事がこじれずに済んだ気がしています。担任の先生、そして学校側の対応も、ありがたいことに迅速かつ的確でした。そして、加害者側にサイコパスやモンスターが混ざっていなかったことも、事態の収拾にとって大きな助けになりました。

しかし、最近の仙台の小学生の事件を見聞きするにつけ、ケイのケースはとてもラッキーだったのだと感じます。子供が自分の気持ちを親に伝え、親がいくら真剣に訴えても、教師や学校がまともな対応をとらなければ、学校でのいじめはどうにもなりません。事件の報道を見ていても、ケイと私達が今笑って生活できているのは、とてもまともな担任と校長に当たったからだと思います。仙台のあの小学校で、ケイが同じようにいじめに遭ったなら・・・想像するだけで、恐ろしいものがあります。

小学校では担任の先生も校長先生も、2,3年周期で変わります。ケイが中学年、高学年と成長していく間に、ケイとケイを取り巻く環境は、大きく変わってしまうでしょう。すると、今回いじめが解決できたからと言って、次も上手くいく保証は一つもありません。大人にバレないようにより陰湿ないじめをする同級生が現れる可能性。そして、その時の担任と校長が、信頼できるまともな人物かどうか。そうした、私達にはどうにもならない巡り合わせ如何で、子供の人生が簡単に大きく狂ったりする恐怖。

ケイの小学校生活に、もうこれ以上いじめの影がさすことがないように。そのために一生懸命頭をひねってみても、親は結構、無力です。そう考えると、子供を小学校に送るという当たり前のことが、結構なリスクを抱えた行為なんだなと、寒気を覚えずにはいられないのでした。