努力する子の育て方

努力に勝る才能無し!努力の才能を育てる教育法、ボルダリングによる育児ハック実践、我が家の超個性的なギフテッド児の生態など

ハートネットTV "浮きこぼれの子どもたち" 感想

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11月30日と12月1日、NHK(Eテレ)のハートネットTVで「”浮きこぼれ”の子どもたち」という2夜連続の特集が放送されました。

 

ギフテッド的な子供達が扱われる内容であることは、タイトルからも予告からも間違いのない感じだったので、NHKが過去のギフテッド特集番組でやらかしてきた、IQに関するニセ科学を平気で垂れ流すといった問題を思い出さずにはいられませんでした。


しかし、実際見てみればそんな心配は杞憂で・・・十分な情報量と多方面への配慮を両立した、取材の質の高さがわかる本当に良い内容だったと思います。

このブログに「浮きこぼれ」の検索でたどり着く人の数も放送後目に見えて増えているところを見ると、多くの人に関心を持ってもらうことに成功したのではないでしょうか?
リアルタイムで観られたものの、他のことをしていたらあっという間に1週間経ってしまい・・・以下遅まきながら、視聴して感じたこと、考えたことを書いていきたいと思います。

「浮きこぼれの子」というワードチョイスの妙

今回の番組では、もっと難しいことを学びたくて学校に行くのが辛くなってしまったといった、明らかにギフテッド的な子供達が紹介されていたけれど、私が聞き逃していなければ、「ギフテッド」という言葉は番組中一度も出てこなかったと思います。

その代わりに、番組では「浮きこぼれ」という存在、問題を「高い能力や強い好奇心などによって、かえって学校にいづらさを感じてしまう」と一般化して、ギフテッドという言葉を使わずに不適応を抱えるギフテッド児の問題を扱っていました。

「ギフテッド」という言葉は自分の子供のことを理解するにはとても助かる概念である一方で、ギフテッドの子供達は多様であり、従って他人に自分の子供を理解してもらうためにはあまり役立たないということは、私も以前から実感してきていたのですが・・・

 

今回NHKが番組を通じて私にみせてくれたのは、現実的にギフテッド児が学校で抱え得る問題を解決していくためには、「ギフテッドの浮きこぼれ」ではなくて「浮きこぼれ」という言葉だけにフォーカスする方がずっと実効性が上がりそうだということ。

そして、「浮きこぼれ」という問題が社会に理解されていく結果として、ギフテッドという多様な存在の理解もまた進んでいくという道筋でした。

先月あった第5回の"ギフテッド支援"有識者会議の資料を見ても「『ギフテッド』という呼称は用いない」とはっきり記述があり、さらに「才能は特定しない」と方針が決まったということで、「今後具体的にどうやって支援対象と内容を議論していくのかな?」とちょっと疑問に感じていたんですよね。

https://www.mext.go.jp/content/20211202-mxt_kyoiku02-000019309-002.pdf


しかし、番組に有識者会議の委員である松村先生や文科省の担当者の方も出演されていたところから見て、今後有識者会議の方でも「浮きこぼれ」やそれに類する言葉を使って「高い能力や強い好奇心に付随する学校不適応」を重要課題と定めて解決していく方向性が伺い知れ、今後の議論により一層期待が高まりました。

 

 

 

一つの解決策としての天童中部小学校の取り組み

今回の番組でさらに感心したのは、浮きこぼれの問題を提示するだけでなく、その解決につながる道筋、可能性についてもしっかり具体的に示していたこと。

それはもちろん番組の中で紹介されていた、秋田県の公立小学校、天童市立天童中部小学校で行われている「マイプロジェクト学習」「フリースタイルプロジェクト」といった実践です。

「マイプロジェクト学習」は生徒が自分の決めた教科、選んだ単元の学習に自分なりの方法、ペースで取り組むという内容で、「フリースタイルプロジェクト」はその発展版、学校で学ぶ教科や単元といった縛りも何もなく、自分の好きな内容を自分なりに追及する時間を設けるという内容。


これを見た多くの人が、きっと「全部の(自分の)小学校がこうだったなら」と思ったことでしょう。校長先生も「やる方にも覚悟が必要だった」とコメントされていたと思いますが、本当に日本の公立小学校でもこれだけ自由にできるのだと驚かされる内容でした。

日本の地方都市の公立小であっても、外部から特別な支援がなくとも、こんな教育が実現できるという証拠を見せてくれている天童中部小の実践。もちろんそこには現場の先生方の多大な労力があることはわかる。でも、これに倣った改革が日本の公立小学校の今後の基本方針となって、その中で浮きこぼれの問題が解決されていくことを願わずにはいられませんでした。

インタビューで天童中部小の校長先生が「先生の教えやすい学校から子供が学びやすい学校へ変わっていかないと、子供が困るでしょう」という趣旨の発言をされていたけれど、そう本気で思う先生がこの国にどんどん増えて欲しい。そうすれば、天童中部小のような生徒に自由を与えて自発性に応え、自主性を促す取り組みは、必ず広がっていくことでしょう。

やればできるじゃん!NHK

ギフテッドという言葉は使われていませんが、今回のハートネットTVは実質的に、かなりギフテッド特集的側面が強い内容だったと思います。

過去2回のNHKのギフテッド特集は企画面で画期的なところは確かにありつつも、取材の仕方と構成内容にかなりお粗末な部分が多くてがっかりだったけれど、今回の番組は掛け値なしに素晴らしかった。

過去の番組と同じ人が作ったのかは知らないけれど、NHKのギフテッド特集、3度目の正直成る、といった感じでした。

しかし、天童中部小の実践の話と、それに取り組む子供達の様子、そして校長先生の教育哲学の部分などに関しては、ギフテッドへの興味関心とは関係なく一見の価値がある内容だと思います。

見逃された方は、再放送の機会や番組視聴アプリ等でぜひ見てみてください。日本の公教育だって変わっていけるかもしれない、そんな明るい希望を感じることができるのではないかと。