努力する子の育て方

努力に勝る才能無し!努力の才能を育てる教育法、ボルダリングによる育児ハック実践、我が家の超個性的なギフテッド児の生態など

幼稚園児と九九をしながら反省したこと・学んだこと

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以前の記事でご紹介したように、うちのギフテッド児ケイは年長の終わり頃、いつの間にか九九を半分以上覚えていることが発覚しました。そこで、せっかく興味があるならば、小2まで待たずに九九を完成させてしまおうと、かけ算九九に取り組みました。

前の記事でさらっと書いた通り、確かに九九は1か月くらいで完成したのです。しかし、その過程には小学校での勉強や先取り学習のことについて、親に色々と考えさせる紆余曲折もありました。そこで今回は、この九九練習の時のケイの様子や、その過程で考えたことを詳しく書いていきたいと思います。

親の思い通りにはいかなかった九九習得

ケイが九九を半分以上覚えていると知った時、それならもう全部覚えるまでに苦労はしないと思いました。ケイが覚えていたのは1,2,3,5,9の段で、9の段が覚えられるならば、難易度が高い6,7,8の段も特に問題なく覚えられるはずです。

ケイはカタカナを完全に一人で習得しました。九九もひとりでに半分覚えたのだから「九九を全部覚えたら割り算ができるようになるよ」と言ってケイが「やってみる」と答えた時に、これは勝手に残りも覚えてくれると思ったのですが・・・話はそこまで簡単には進みませんでした。

2の段が好きすぎて全部覚えるのに興味がない

その後しばらくして、ケイの九九の歌を聞いていると、歌っているのはいつも二の段ばかりなことに気が付きました。ためしに「九九の新しい段覚えてみた?」と聞いてみても、「ううん」と答えるケイ。「なんで新しい段を覚えないの?」と聞いてみると、「2の段が一番好きだから」「みて、2の段めっちゃ速く言えるよ」。

たしかに2の段の暗唱はものすごく速くなっているのですが、新しい段を覚えていかないと九九は完成しない・・・「新しい段にもチャレンジしてみなよ」と言うと、「うーん、それより2の段もう少し練習したい」と言います。どうやら、簡単で自然と覚えられた2の段をより速く言うのにハマってしまった様子でした。

そこで、ケイに九九を全部覚える意義を説明しようとして、はたと気が付きました。そもそも「なぜ九九を完成させる必要があるか」なんて、考えたこともなかったことに。

 

 

四の五の言わずに九九の学習に持ちこむ小学校の凄さ

考えてみると、自分が九九を覚えた時にはただ「2年生のこの時期には算数で九九を勉強する」、「みんな覚えるからやる」という、完全に場の流れに乗っかっていただけでした。そして、九九を覚える意義なんて考えもせずにこの流れに乗れてしまう根底には、「学校では先生の言う通りに次々と勉強していくもの」という状況の刷り込みががっちりとありました。

さらに、小学校では「友達と競って勝ちたい」とか「全部言えるとカッコいい」というように、周りを巻き込んでの九九の暗唱に取り組むモチベーションがありました。しかし、一人で目的もなく覚えろと言われたら、九九は普通面白くありません。自然に半分覚えただけでも、ケイは上出来なのです。

小学校の勉強はつまらないと常々思っていました。しかし、そんな面白くない勉強でも、「学校で」「友達と一緒に」というように少しずつ付加価値をつけながら流れに乗せて、自然と子供にやらせていく力が小学校にはあるということを、この時初めて理解しました。

面白くない九九を家で先取り学習するための工夫

ずいぶん甘い考えで九九の先取りを始めてしまったなと少々後悔しましたが、逆にここで九九をなんとかやっていければ、今後家で面白くない学校の勉強を先取りする時の良いモデルケースにできると気を取り直して、ケイに九九を習得させるモチベーション作りに取り組みました。

九九を覚える意義を実感させてみる

九九をなんで覚える必要があるかと考えると、やはり複数桁の掛け算や割り算をする時に役立つ点が大きいと感じました。そこで、九九の意義を実感してもらうために、簡単な割り算をやってみることにしました。

割り算の仕組みを教えて、2の段は覚えているから12÷2は解けるけど、12÷4は4の段を覚えていないと解けないと説明すると、ケイはやっと少し九九を覚える意味がわかったようでした。新しい計算法に強い好奇心を示すケイだからこそ可能だった方法なのかもしれませんが、上手くいったのは幸いでした。

九九にゲーム要素を持ち込む

思い起こせば、小学校でも九九はゲームのような存在でした。みんなで覚えて、達成度を競ったり、暗唱のスピードを競ったりする中で、いつのまにか完成しているという戦略がとられていました。

これは家でもマネできると考えて、九九をゲーム化するために、暗唱できた段にはシールを貼っていくように改良した九九表と、10秒以内に暗唱できたらシールを貼っていく暗唱スピード記録用紙を小物として用意しました。

ケイに、各段の暗唱とスピードをクリアしていって全部のシールを集めた後に、最後「全段何も見ずに通して1分半以内」を合格できたら全クリ、というルールを説明すると、結構乗ってきたので、しめしめとそのまま毎日九九の練習をして、なんとか1か月で九九の完成にこぎつけることができました。小学校のシステムに習ったゲーム要素の導入は、家でもかなり上手くいったと思います。

家庭での早期学習は軽い気持ちでしてはいけないという教訓

小中学校の勉強というのは、「今ここでやる内容はこれだから」ということだけで進んでいきます。なので、それを家で独自に先取りしようとした時には、学校ではことさら説明する必要のない「その内容を勉強する意味」という疑問にきちんと答えを用意しておく必要がある。これが、この件で私が学んだ一番の教訓です。

九九の習得ではケイはそんな疑問をはさんではきませんでしたが、もし「なんでこれを今やらないといけないの?」と聞かれていたら、答えられなかったと思います。「もう半分覚えてしまったし、できるでしょ」という軽いノリで始めているので、深い考えがなかったのはある意味当然でしたが、大きな反省点です。

先取り学習も、子供の興味と学習内容が合致して、問題なく進んでいる間は良いのだと思います。ただ、今回のケイの九九のように興味と学習内容がズレたりして上手く進まなくなった時に、「先の内容を今勉強する必要性」という当然の疑問に親がしっかり答えられるかどうかが、子供との信頼関係を保ちながら、子供の学習を軌道修正して進めていけるかどうかのカギになると強く感じたのでした。

この「先取り教育をやっていく意味と必要性」に関してはこの九九のこと以降にも色々考えたのですが、それはまた別の記事に書いていきたいと思います。