努力する子の育て方

努力に勝る才能無し!努力の才能を育てる教育法、ボルダリングによる育児ハック実践、我が家の超個性的なギフテッド児の生態など

努力できる子に不可欠な「自発性」の伸ばし方

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労をいとわず自らの成長のために行動できる、「努力できる子」にとって、自発的にものを考えたり、行動を起こしたりすることは必須の能力と言えます。しかし、この「自発性」という性質は、育児や教育の中で伸ばしていくのが特に難しい代物です。そこで今回は、「自発性」の特殊性と、我が子の自発性を伸ばすための上手い関わり方について書いていきたいと思います。

 

 

「自発性」と「自主性」「主体性」の違いを理解する

自発性とは「物事を他からの影響ではなく、自己の内部の原因によって進んで行うこと」です。「自ら進んで行動する」ことに関連する性質には、他にも「自主性」や「主体性」といったものがあります。それでは、自発性と自主性、主体性は、一体何が違うのでしょうか?

自主性、主体性、自発性の違いは、どれだけ独立、自立しているかという点です。例えば、「親に指示されてやっていたことを、言われなくてもやるようになった」というのは自主性です。自主性は「何かを独立して行う性質」で、その行動の動機や意思決定の所在は問われません。

しかし、指示されたことをやっているだけでは、「主体性がある」とは言えません。主体性は「自らの意志や判断に基づいて独立して物事を行う性質」であり、自主性よりもより自律的な状態です。しかし、意思決定の所在は自分にある必要がある一方、動機の所在は問われません。例えばそれが「まかされた仕事」であっても「成り行きでやることになったこと」であっても、自分で具体的な活動内容や方向性を決めて行動していれば、主体性と言えます。

しかし、他人にまかされた仕事を進んでこなしても、それは永遠に自発的とは認められません。初めに書いたように「自発性」は「物事を他からの影響ではなく、自己の内部の原因によって進んで行うこと」です。つまり、その行動の起因・動機が自らになければ「自発的」とは呼べません。

活動や行動が「自発的」であるためには、その開始点、動機が、外ではなく自分の中になくてはいけません。従って「自発性」とは「行動や活動を外部に依存せずに自ら『開始』する性質」であると言えます。成長のための行動を自ら開始する能力がなければ、一人で努力を積み重ねることは不可能です。つまり、努力の才能が要求しているのは、自主性でも主体性でもなく、最も高い独立性が要求される自発性であるということになります。

理論上、自発性を外から与えるのは不可能である

では、この自発性を伸ばすために、親はどのように子供に接していけばよいのでしょうか?いつも心に留めておく必要があるのは、そもそも自発性は、本人以外がどう頑張ろうと、外から指導して伸ばしていくことはできない物だということです。

これは、自発性が「他からの影響・教示などによるのでなく、自分から進んで事を行おうとする性質」であるという定義からして明らかです。他人からの指導や助言、サポートといったものは全て「他からの影響・教示など」にあたります。つまり、自分以外の何かの影響を受けて何かを始めたとしても、それは上記の議論のように「自主的」とか「主体的」なものにはなり得ても、「自発的」なものにはなり得ないのです。

つまり、自主性や主体性は外からの働きかけで伸ばしたり、与えたりすることが可能なものであるのに対し、自発性というものは、外から働きかけて伸ばすことがかなわない、特殊な性質である、ということになります。

 

 

 

親の干渉で子供の自発性は潰れる

さらに留意が必要なのは、子供の自発性は親が外から干渉することで、逆に損なわれる可能性が高いということです。転ばぬ先の杖として、親が子供に「こうした方が良い」「これはやらない方が良い」と指導してしまうことが、子供が自発性を発揮する機会を奪います。

決して悪気はなくても、そして結果的に子供の意志に反していなくても、親の何気ない声かけが、子供の自発性の芽を摘んでしまいます。別にそう仕向けたわけではなくとも、結果的に親の意見に従ってばかりで自発性を発揮した経験に乏しい子供は、自発的に行動することが苦手になっていきます。

親の干渉が子供の自発性にどれほど悪影響を与え得るかは、過干渉で抑圧的な親に育てられたアダルトチルドレンや毒親育ちの人が、自発性の欠如に「自分というものがない」と苦しむ事実に明確に見て取れます。

自発性は大切に守り育てるもの

子供の自発性に関して親がするべきこと、それは、子供の自発的行動を注意深く見守り、機会を見逃さずにそれを褒め、強化していくことです。子供の内側から「これがやりたい」「やってみよう」という意思が湧き上がるのを待ちましょう。そして、その時を見逃さず、「いいアイディアだね」「自分で考えたの?すごいね」とその考えに寄り添い、的確に褒めていくことで、子供の自発的行動を強く後押ししましょう。自分の発案に親が興味をしめしてくれたら、子供はとても嬉しいものです。

子供が自発的になにかやり始めたり言い出した時は、なるべく黒子に徹し、さらなる自発的行動や発想を引きだすように努めます。子供の持ちだしたトピックについて、親子でお互いにアイディアを出しあう、ブレインストーミング遊びをするのも良いです。ただ、親が頑張りすぎて「これ以上ない良いアイディア」を提供してしまったりすると、子供が続けて自発性を発揮する機会は根こそぎ奪われる可能性があります。とにかく親はでしゃばりすぎないようにするのが肝心です。

子供の自発性を育てるには、親に忍耐力が必要です。小さな火種を、消してしまわないように注意しながら、少しずつ空気を送って大きくしていく、そんなイメージでやっていきましょう